悪夢(EVE burst error)

薄暗い部屋の中。
膝に埋めていた顔をあげると、窓から月明かりが部屋の中を照らしていた。

また、あの夢を見た。
暗い闇に捕らわれる、あの夢を。
助けを求めたとしても、それは無意味で。
あがらえばあがらう程、自由を拘束されて。
自分が自分でなくなっていくようで……。
部屋を覆う薄闇に恐怖を感じて、自身を掻き抱く。
私の意識の中に、もう一人の別の私が居る。
そんな感覚が抜けない。
暗い暗い闇の奥から、私を飲み込もうと目を光らせている。
私の意識の中で、それがどんどん大きくなってくる。
私が、薄れていくよう……。

最近、ずっとこうだ。
眠りに入れば、必ずあの夢を見る。
目を開けていても、あの夢に捕らえられているようで。
恐い。一人で居るのが、恐い……。

けれど。
その夢にも終りは来る。
太陽の光りが、私を捕らえている闇を消してくれる。
でも、それは一時的な気休め。
太陽が沈めば、私はまた、闇に捕らわれる。
あの夢が、来る。

気がつけば、カーテンの隙間から、薄く光りが洩れていた。
今日は結局眠れなかった。
……でも、あんな夢を見るくらいなら、眠らない方がいいのかもしれない……。
ベッドから立ち上がり窓辺に立ち、カーテンを引く。
景色はまだうっすらと白く滲んでいる。
あと数十分もすれば、鮮やかに色づいてくるはずだ。
また、短い一日が始まる。

夢から解放される短い時間が、始まる――――。

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