FEELLING

 私の中に浮かんでは消える、ちいさなちいさな感情。
 想うことで湧き上がってくる、ちいさなちいさな想い。

 ほんの少しづつ私の中に降り積もる、そんな、ちいさな気持ち。

 そのほんの少しが、どんどん積み重なっていって。
 私から溢れそうになる。

 溢れて零れ落ちそうになるそんなちいさな想いは、どうすれば届くのかな?
 言葉に出さなくても伝えられる方法は、あるのかな?

 右手で小さく銃の形を取り、ゆっくりと、知られないように指先を彼女に向けた。
 ちいさなちいさな想いを指先に乗せる。
 そうして、標準を合わせて、溢れる想いをミレイユに向かって撃ち出した。

 空気を伝って、撃ち出した感情が彼女へとぶつかる。

 ――――けれど、それだけ。

 彼女のまわりの空気がほんの僅かに揺れただけで。
 私の撃ち出したちいさな気持ちは、彼女にぶつかって、溶けるように消えていった。

 不意に、彼女の動きがピタリと止まる。
 そうして、ゆっくりと顔を上げた。
 私を見るミレイユと視線がぶつかる。

 気持ちはちゃんと届いてたんだ。
 彼女を呼ぶ声は、ちゃんと届いてたんだ。
 私の中で溢れそうなちいさなちいさな想いは、ちゃんと彼女の中へと溶けていたんだ。

 それが、とても嬉しくて。

 不思議そうに私を見るミレイユに、ちいさく笑顔を投げかけた――――。

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